

「あなたの心も体も、足はぜーんぶ知っているんですよ」
そんな無責任なお話を、私は時折患者さんに言うことがあります。
思い込みの強い、非科学的なエビデンスの少ない治療家のスピリチュアルな話には到底付き合いきれないという方は、遠慮なくスルーしてくださいね。
ふくらはぎや足の裏には、人間の持つ根元的な力が宿っているという信じられないお話に、少しだけでも耳を傾けていただければ嬉しい限りです。
睡眠障害を抱えている方が寝る前の3分間を竹踏みの実践をしたら、安定剤が要らなくなったことや、お風呂での3分間のふくらはぎマッサージで重い生理痛から解放されたことなど、全てが良くなる訳ではなくても、3分間の投資に対するリターンは割と大きい成果が得られる方々が存在していることを私は知っています。
足が満ちれば満足、足りなければ不足
突然ですがみなさんはご自分の足(脚)に、どのくらいの意識と関心を持っていますか?幽霊には足が有りませんが、生きている人にとっては足はとても大切なものです。
足は単なる移動手段としての道具ではなく、「第2の心臓」と言われるくらい重要なものなのに、足に対して感謝の気持ちを持って触れたり、セルフケアをしている人は、果たしてどのくらい居るのでしょうか。
足には全身のバランスを取る為の精密かつ高性能なセンサーが、足うらを中心に設置されていたり、お尻や股関節を中心とした人間だけが有するパワフルかつ芸術的な構造体があります。
その素晴らしい人間の体の機能性や素晴らしさを、足の大切さ凄さを学んで理解が深くなれば、もっとご自身の脚を、体を好きになるかもしれません。
脚にある骨の数と役割
人間の全身に骨はいくつあるのかご存知ですか。
正解は約200個です。その内の下半身にある骨(骨盤骨を含まない)の数は片足で32個、両足で64個になります。全体の約1/3の数になります。
足はこんなに小さいのに、運動をしている時には自分の体重の2~3倍の負荷を股関節や足関節では受けることがあるほどです。50kgの人が小走りで走っただけで150kgの負荷が足の付け根にはかかってきます。
また骨と一口に言っても実は、骨にもいくつか種類があります。
硬いもの、柔らかいものという簡単な分け方もあるし、骨髄組織のないもの、踵の骨のような硬いけど柔らかい特殊なものなど、構造体はシンプルなのにそれぞれの個性は強めです。
特に足裏のアーチ構造体をぱっと見ると、よくこんな不安定な小さな骨の集まりで100kgにも及ぶ体重を支えられるのかと未だに不思議に思うことがあります。
人は辛い時や苦しい時に、誰かにすがりたくなったり頼ったりしますが、結局立ち上がるには自分の力が必要になります。自分で立ち上がる事が出来なければ、また同じように挫けてしまうものです。
フラフラと頼りない様を昔の人は「地に足がついていない」と形容する言葉もあるほどです。
自分で立つ事ができれば、自分から一歩を踏み出す事ができます。
立つこと自体は骨の仕事。骨には意志や習慣が宿ると言われます。
遺伝とは具体的には骨格のことです。
文字通り自立した人間になるには、下半身や足は大切な部位なのです。
脚にある筋肉と働き
全身の筋肉量が100とすると、脚にある筋肉の割合は70と言われています。
えー!そんなに無いでしょ?と思いますが、7割は大きいですね。
実は筋肉とともに多いのが腱(けん)です。体重を支えるインナーマッスルとも言われるものです。主に姿勢を保持する役目とも言われています。
筋肉を大きく分類すると次の三つに分けることができます。
①運動筋(推進筋)
②姿勢保持筋(抗重力筋)
③内臓筋
となります。
特に脚は上半身の重みが常に負荷されているので②の姿勢保持筋が発達しています。姿勢保持筋とは読んで字のごとく、姿勢を保つ為に、立位を維持する為に関節を固定させる筋肉です。
骨を固定させるのです。
骨を動かすため、関節を速く又はパワフルに動かすための筋肉は①運動筋の役目で、体重や重力に抗う為に発達している筋肉は②姿勢保持筋の役目が大きくあります。
①は速筋(白筋)繊維が多く、②は遅筋(赤筋)繊維が多いとも言われたりもしています。
瞬発系の筋肉と持久力の筋肉は、質的に違うのです。
筋肉には瞬発力を司る白筋繊維(白筋)と持続的な運動を司る赤筋繊維(赤筋)があり、前者はあまり酸素を必要としない動きに適していて、魚で言えばヒラメなどの近海魚の白身魚、後者は多くの酸素を必要としスタミナを必要とする動きに適していて、魚で言えばマグロなどの遠洋を泳ぎ続ける赤身魚を指します。
人間の下半身にはこのいずれの筋肉も存在していて、どちらの特性を向上させていくかはトレーニングなどによって変わってもいきます。
つまりはハイブリッドなのです。
また下半身にはバランスを保つためのセンサーが体幹や上半身よりも密に存在してもいます。
自立二足歩行を可能にしている要素は腸腰筋や臀筋群の発達など色々ありますが、大きな要素の一つにフクラハギやスネの下腿部、また足裏に多く存在しているバランスセンサーの発達と数も必ず上がってくる理由になります。
このバランスセンサーのことを「筋紡錘」と「腱紡錘」と言います。
敢えて極端な言い方をすれば、このセンサーが鈍り錆びついてくることを「老化」と表現しても差支えないのではないかと思います。
筋肉の量的な問題だけではないのです。
ここを見落としていると効果的なアンチエイジングはできません。
老化は足元から始まるのです。
三つのアーチが体を支えている
足の裏には三つのアーチ構造があります。内側アーチ、外側アーチ、横アーチと言います。アーチとは英訳すると【橋】や【門】ということになりますが、正式な和訳は【足弓】と言います。
カカトの骨(踵骨)と親指の付け根(母指丘)、小指の付け根(小指丘)をそれぞれ直線で結んだものをアーチと言います。
このアーチが弓矢のようにしなりながら、足うら全体をバネのように上下運動をさせています。
立つことや歩くことで足首や足指が動くということは、特に膝から下のふくらはぎは大きく動かされるのです。
どんな凸凹な地面でも、斜面でも、転ばないように頭が傾かないように、足の裏にある三つのアーチ構造がしっかりと、それぞれの重心軸を足うらの三角形の中からはみ出ないように脊髄反射を用いて、絶妙なコントロールをしているのです。
足の裏にある腱の数だけでも170本に及びます。
骨盤がゆるい人、開き気味の人というのは、実は足裏のアーチが不安定になっている可能性が大きいのです。
足うらとは実は「骨盤を安定させる為」に大きく関与しています。
心臓の大きさは自分の握り拳と同じ大きさといわれていますが、こんな小さなポンプでは全身の隅々まで血液を行き渡らせるのは、血圧を相当高く保たなければ無理なのです。
ふくらはぎや足うらの運動が心臓のポンプ活動を助ける役目をして、血液を心臓に向かって押し上げる働きをしているのです。故に血圧は一定の圧で維持できる訳だし、「第二の心臓」ともいわれる所以になっています。
ポンプ機能が低下すれば新陳代謝や血液の循環が悪くなり、様々な病気や障害が起こってくることは容易に理解できると思います。
ゆえに安静時の血圧の上昇と下半身の筋肉の硬さには、とても密接な関係があるのです。
特に二足歩行をしている人間は、心臓に戻るポンピングアクションそのものが、生命力の強さとも言われるくらいなのです。
実は「超」の付くぐらいの原始的な感覚が、足の裏の三点には備わっているのです。
ケアすることは向き合うこと
足を見れば全体が分かると言えば大袈裟ですが、足の機能性や特殊な進化やセンサーなどを知っていけば、おのずと大切にしていこうという気持ちが誘発されていくことでしょう。
重力の関係上、下半身には骨や筋肉に筋膜などの癒着が起きやすいのです。まずはそのケアをしていくことが最も簡単に克つ早期に変化を起こすことになるはずです。
セルフケアのコツは整骨院で教えますので、むくみやセルライトなどが気になる方は一度お声がけください。人は知らない事には関心が持てないし、把握できないものを改善していくことはできません。
先にも挙げましたが、老化は足元から始まるのです。
衰えや嫌な現実を直視すること、向き合うことは決して気持ちの良いものではありません。
誰かのせいにしたり、曖昧にしてやり過ごすこともできるでしょう。
でも決して逃れられないことが死だとするならば、堂々と衰えや減少感を受け止めて、楽しく前に進んで行くのが良いと私は感じます。
足は人生のアドバイザーです。
足は人生を映す鏡だとも言えます。
正しく理解をして、適正なトレーニングをして、楽しくエイジングを重ねていきましょう。
私は国家資格を持つ「からだの専門家」です。
予防医学の観点から、あなたの健康に対する将来の不安を解消して行きます。
2 コメント. 新しいものを残す
今回もありがたい内容のブログ更新でした!
ちょうど、最近私は動悸や息切れが気になり貧血かなと思ってましたが、鉄剤飲んでも症状は変わらず、むくみが気になって1ヶ月すぎたところでした。
7月末から仕事を始めて、足がすごく浮腫むことは気になっていたけれど、仕方ないんだって思ってました。そのうち、朝に顔も浮腫むようになりました。そうして現在、動悸息切れがひどいのはまさしく先生が説明してくださった内容そのものかなと思いました。
筋肉量も減って来ているし、会う人会う人痩せたねとかよく言われるんですけど、痩せちゃうとそんなにいけないんですかね。痩せようと思って痩せてるわけでもなく、私の基準でちょうど心地いい動きやすい体重をキープしてるだけなのに、病人扱いされるから迷惑なときもあります。
おっと、愚痴になってしまいましたが、今夜から私も足をいたわってセルフケアしてみようと思いました。
足は大切ですね。
ふと思いました。毎回私が先生のブログにヒットしてたのは、たまたま偶然なのか、私の中の問題と繋がることに気がつきました😅ありがたいです👍
shigemiさん
いつもコメントありがとうございます。
先日久しぶりにお会いできましたが、私はShigemiさんが痩せて病人のようになっているような印象は無く、イキイキと躍動してる感じを受けました。
自分らしく生きていくには土台となると足のケアは大切かと思います。
しっかりケアしてshigemi さんらしく進んでいける事を祈っております!